ACE技術

小型のスピーカボックスでよい低音特性を得ようとすることは、スピーカの設計にとって、やりがいのある目標です。小型スピーカボックスの低音特性は、大型のものよりも劣っているのがふつうですが、KEF社は長年に亘る研究の結果、ACEという技術を開発することによりこの問題を克服しました。その技術は、浄水器に使われる活性炭をスピーカキャビネット内に採り入れたものです。

多孔性のACE素材中にある多くの小さい穴が、駆動部が動くたびに空気分子を吸収したり排出したり、人間の肺胞のように働きます。このことで低音駆動部が言わば容易に呼吸することができ、低音特性を拡張することができるのです。実際に、ACE技術によるスピーカでは、2倍の容積を有する今までのスピーカと同様の低音特性を発揮することができます。
 
 

ACE

小さなキャビネット容積で実現する低音拡張。 Play Movie >

 

スピーカの低音部の応答特性はスピーカの内部容積に大きく依存します。オルガンの低音域から、映画での真に迫った大音響までの迫力ある低音を聴こうとすると、物理的に大きな容積なスピーカキャビネットが必要になります。それは、これまでの低音駆動部がスピーカキャビネットの中での、空気との相互作用による物理的な原理によるものです。

ACE技術によって、この基本的な制約を回避させることができ、スピーカキャビネットの中に活性化カーボンを入れることで、言わば効率的に内部容積を自由に調節することができるのです。

 

ACE技術はadsorptionと呼ばれる吸着処理によって実現されます。それは、スピーカコーンが内側、外側に動くことにより生ずる空気圧の変化に応じて、カーボンの微粒が空気分子を吸収したり、排出したりするものです。この空気分子の流れは、常にスピーカキャビネット内部の圧力変化を抑制するように働きます。このことによって、見かけ上、実際よりもずっと大きなスピーカキャビネットを得ることができるのです。より多くの活性化カーボンを内部に入れるほど、実効的な内部容積は、損失が大きくなるところまで増大します。通常、低音域の優れた特性を保ちつつ、実効的な内部容積を2倍にすることができます。

ACE技術を使えば、同じ低域特性のままで、スピーカの容積は小さくてすますことができます。最初にACE技術を採り入れたRDMモニターの公開デモを行った際には、内部容積を40%減らすことができました。

 


スピーカボックスの容積が増加できたことは、主に次の二点に役立ちます。(1)スピーカサイズを音響特性を保ちつつ、小さくすることができる。(2)逆に、スピーカサイズを保ちつつ、低音域を広げられる。一般的には、低音駆動部のカスタム設計する場合、両方を加味し、全体として最適な結果が得られるよう折り合いをつけます。

 

音質を表す専門用語の内、ACE技術には、いくつかのすばらしい強みがあります。主には、音を反射させることで低音域を拡大するスピーカで、もうひとつは、密閉型キャビネットで卓越した過渡特性を持たせるように設計することができることです。計測可能な諸パラメータを利用することで、ACE技術によるキャビネットによる音質は、明瞭で、些細な低音域も再生できるという点で、オーデイオマニアに定評があります。