オーディオ評論家土方久明氏が語るサウンドバーXio
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いまサウンドバーが人気だ。ワンボディで設置性に優れ、テレビの音を大きく向上させるとともに、複雑なスピーカー配置や配線を必要としない点が評価されている。オーディオメーカーからガジェットメーカーまで、国内外からさまざまな製品が登場し、価格レンジも広い。
そのような中、イギリスのKEFから同社初となるワンバータイプのサウンドバー「XIO」が登場した。従来のサウンドバーの枠組みを超え、ハイファイオーディオの思想を高度に統合した注目のモデルだ。
※東京・青山の直営店 KEF Music Gallery では、Xio の試聴が可能です。
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まずデザインに目を向けたい。XIOは直線を基調とした無駄のないフォルムを採用している。フロント全面を覆う音響透過グリルは、内部ユニットの配置自由度を確保しながら外観に統一感をもたらす。さらに天面と側面の仕上げにも英国らしい上質さが感じられ、視覚的なノイズを抑えたミニマルな外観と、音響性能を重視した構造が、高いレベルで両立している。
キャビネットサイズは1,210×164×70mm(幅×奥行き×高さ)で、サイズ的には55インチ以上のテレビに適している。薄型テレビとの親和性を意識した横長・低背設計を採用している。
また、シルバーとブラックの2色から選べるため、部屋のインテリアに合わせて導入できる。
音声処理は5.1.2chに対応し、映画やApple Musicなどのイマーシブサウンド規格であるDolby Atmosに加え、DTS:Xやソニーの360 Reality Audioにも対応する。
と、ここまで見る限り、スペック自体は他社のサウンドバーと大きな差はない。しかしXIOの真骨頂は、伝統あるオーディオメーカーならではの技術が、全方位にわたって投入されている点にある。
まず、XIOが内蔵するスピーカーユニットは、実に12基に及ぶ。単に数を競うものではないが、KEFが誇る「Uni-Qドライバー」の小型版である「Uni-Q MXドライバー」が6基も搭載されている点は特筆すべきだ。
Uni-Qドライバーは、高域用トゥイーターと中域用コーンを同軸上に配置する、KEFのいわばお家芸的な技術。この構造により点音源に近い放射特性が得られ、セリフや環境音を高い解像度で表現できる。
通常、同社のステレオスピーカーでは1つのキャビネットに1基搭載されるドライバーだが、XIOではフロントの左右と中央に各1基、さらに天面の左右と中央にも各1基を配置している。非常に贅沢な構成に、僕は「KEFやってくれるじゃないか!」と嬉しくなった。
また、近年のサウンドバーでは、低音域の迫力や立体感、すなわち低音の表現力が大きな訴求ポイントとなっている。XIOは独自開発の「P185ベースドライバー」をフロントに2基、天面に2基、計4基搭載するという徹底した構成だ。さらに、各ユニットは独立したアンプで駆動されるマルチアンプ構成を採用し、内蔵DSPによってクロスオーバー、タイムアライメント、イコライゼーションを精密に制御している。
入出力端子はHDMI eARCを中心とした構成で、光デジタル入力も備える。ネットワーク機能はWi-Fiと有線LANに対応し、AirPlayやGoogle Castを利用できるため、スマートフォンやパソコンとの親和性も高い。これらの端末からSpotifyやQobuzなどの音楽ストリーミングサービスを再生できるほか、Bluetooth接続にも対応している。XIOはオーディオ機器としても十分に活用できるサウンドバーと言えよう。
そして、気になる音質だが、数あるサウンドバーの中でもXIOのサウンドは際立っている。テレビの内蔵スピーカーとは一線を画す広帯域かつ高解像度な再生、精密な音像定位、さらに力強い低音を高いレベルで両立している点が大きな特徴だ。とりわけKEF独自のUni-Q同軸ドライバーにより、音源の位置情報が極めて正確に再現され、リスニングエリアの広さも確保されている点は印象的だ。
映画などのDolby Atmos再生では、上向きに配置されたドライバーと高度なバーチャルサラウンド処理を組み合わせることで、立体的な音場を生み出す。天井反射を利用した高さ表現は実在感が高く、単体でありながらマルチスピーカー環境を意識するような空間表現を実現している。テレビ放送はもちろん、NetflixやAmazon Prime Videoなどの配信サービスで映画を視聴すると、その違いは明確だ。迫力あるサウンドにより、作品への没入感が大きく高まり、自宅のサウンドを少し映画館にづけたような体験が楽しめる。 少しマニアックに書かせてもらうと、数あるサウンドバーの中でも、XIOのDSP処理は位相制御に優れており、仮想チャンネル生成時の違和感が少ない。これにより、物理的なスピーカー数以上の空間情報を自然に再現し、映画視聴時には明確な包囲感と奥行き表現が得られる。
また、独自の技術(ベロシティコントロール(VECO))による深く協力な低音は、ワンボディタイプとは思えないほどの迫力だが、さらなる低音を求める場合は、同社のハイファイ/シアター向けサブウーファー「KC62」や「KC92」などを有線・無線で追加することもできる。システムを発展させていく楽しみも備えている点は見逃せない。
まとめとして、現在サウンドバーは多彩なモデルから選べるが、選ぶならデザイン、音質、使い勝手のいずれにも優れた価値の高い製品を選びたい。その意味でXIOは、KEFの最新音響技術とデジタル信号処理技術を集約した完成度の高いモデルだ。単なる利便性重視の製品にとどまらず、高音質志向のリスナーに向けたリファレンス的存在と位置付けて良いだろう。
※東京・青山の直営店 KEF Music Gallery では、Xio の試聴が可能です。
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オーディオ評論家・土方久明氏
ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーオーディオの評論家として活躍中。元来一人のオーディオマニアであるため、購入者の視点から製品をレビューすることを信条としている