現代、その先を見据えたKEF LS60Wireless
若かりし頃から、KEFは、魅力的なスピーカーブランドでした。思い返すと、1970年代のコンパクトなBBCモニター、LS3/5AやリファレンスシリーズMODEL109などを海外のオーディオ誌で拝見し、憧れたものです。
その後、1988年に登場した、同軸ドライバーUni-Qを搭載したC35。これは、KEFの進化における過渡的な存在ではなく、継続の進化を遂げて、もう、12世代目になりましたね。
その間に、世界で唯一無二の優美な曲面を湛えた、KEFを象徴するハイエンドスピーカー、MUON やBladeシリーズ、そしてReferenceシリーズが登場し、私は、ハイエンド方向へ進んでいくのかな、と思っていました。でも、それは、少し違いましたね。KEFは、常に先を見通していて、オーディオファイルだけではなく、音楽を高音質で楽しみたい、すべてのミュージック・ラヴァーにKEFのサウンドを届ける方向も加えてきました。こうした方々には、オーディオって、いい音を出そうと思うと、なんだか複雑で躊躇してしまう。いいアドバイザーも知らないし... 何て思う方もおられると思います。そこで、考え出されたのは、パワーアンプ搭載のスピーカーですね。そして、いち早くワイヤレスの世界へと展開していきました。その中でも、私が好きな現行のモデルを挙げるとしたら、コンパクトでフレンドリーなLS50 WirelessⅡとフロアスタンドタイプのLS60 Wireless ですね。いつ見ても、カラーが良く、スタイリッシュで美しい。お部屋の雰囲気が、オシャレで柔らかくなりそうです。
※東京・青山の直営店 KEF Music Gallery では、LS60 Wireless /LS50 Wireless II の試聴が可能です。
詳しくはこちら
Uni-Qドライバーの上品なゴールドも素敵です。私は、特に Bladeのデザインと技術を進化させた、LS60 Wireless に魅了されています。オーディオ市場で、初のワイヤレス・フロアー・スタンディング・スピーカーです。そこには、ハイエンドオーディオとしての高度技術が搭載され魅力ですし、その音質も、音楽の躍動感を鮮明にして、録音場所のホールやスタジオの空気感までも再生してくれます。空間にリアルなヴォーカルや楽器奏者が浮かび上がり、このスリムな姿からは、想像できないダイナミックな音楽を聴かせてくれます。これが、Uni-Qの大きな魅力です。そして、楽器や声の豊かな倍音も聴けます。
私は、レコーディングやマスタリングに携わってきていますから、この特性は、スタジオモニターと同等の資質があるように思えてなりません。長い歴史を刻んできたKEFは、「スタジオサウンドをご家庭でも」という考えを当初から、もっておられたと思います。このLS60 Wireless は、中高音をフロントのUni-Qドライバーで再生して、低音を、両サイドのウーファー(左右合計4基)で再生します。
Uni-Qは、左右一点から音を放射し、音楽の立体空間を創り出します。ですから、低音もUni-Qの近くから再生するのが理想と考え、ウーファーも上に取り付けていますね。
左右対称のウーファーは、内部で連結したUni-Core技術です。透明感に溢れたリアルな音のために振動歪みを低減します。これで、高音、中音、低音の理想的な同軸型ドライバーが成立してしまいます。これをシングル・アペアレント・ソース・テクノロジーと言いますね。素晴らしい技術です。そして、各スピーカーをアンプが直接、駆動します。長いスピーカーケーブルも必要ありません。
さらに魅力なのは、一つのアンプを使い、高音、中音、低音を分けて、スピーカーを駆動させるネットワーク回路(抵抗やコイル、コンデンサーなどの組み合わせ)が不要で、音の損失がなく、高い音圧を実現し、音が生々しく再生されます。まさに高精細です。しかも、音質を極めた2種類のアンプを独立で搭載しています。この構成だけのスピーカーでも、スタジオ向けのパワード・スピーカーに匹敵しますし、プリアンプを使えば、CDプレーヤーやレコードプレーヤーも再生できます。
いつもレコードに魅力を感じている方は、ちょっとステップアップして、フレンドリーにbluetooth再生に対応した、フォノイコライザー内蔵のレコードプレーヤーを使えば、楽しめます。お気に入りのCDやレコードプレーヤーをお持ちなら、今までとおり、RCAアナログ・ライン端子にも繋げます。
もちろん、有線LANに接続できますし、HDMI eARC端子を使えば、テレビの音声も高音質で聴けます。入力が実に豊富で、新たな再生機器を招いても十分に対応できると思います。ここまで、お話した技術は、KEFの優れたプログラミング(アルゴリズム)を投入したDSPやFPGAで、行われます。操作は、スマートフォンなどのモバイルで使えるKEF Connectで行えます。入力選択、曲の再生と音量調整。低音と高音のバランス調整なども。さらに別の部屋にLS50 WirelessⅡがあるので、再生したい。これにも対応できます。そして、存在感のあるスタイリッシュな佇まいには、所有の喜びまでも感じてくることでしょう。
私は、いつまでも、愛用できるハイエンドスピーカー・システムには、洗練のデザイン、優れた搭載技術と音質、使いやすさのウェル・バランスが、不可欠に思います。
それを実現してくれるのが、LS60 Wireless なのです。
※東京・青山の直営店 KEF Music Gallery では、LS60 Wireless の試聴が可能です。
詳しくはこちら
オーディオ評論家・角田郁雄
スタジオ機器のセールスエンジニアや録音とマスタリング業務を経験した後、オーディオの魅力を若い世代にも伝えたいと評論の世界へ。いち早く、ハイレゾオーディオを牽引し、デジタル再生に対する技術的知見も深い。オーディオ評論のほか、著名なレーベルの日本独自SACD盤の音質、技術監修も行う。自身のリスニングルームには、アナログからハイレゾ・ストリーミングに対応するオーディオシステムを構築している。